慢 性 腎 不 全

慢性腎不全とは

高齢の猫に最も多い病気のひとつが慢性腎不全です。特に目立った症状もなくゆっくりと進行していくため、飼い主さまが猫の体調の変化に気が付いたときはすでに進んでいる場合が少なくありません。腎臓の組織は一度くずれると簡単に修復、再生ができないため、完治することは望めません。しかし早くから治療することによって進行を遅らせることは可能です。早期発見がとても重要です。

腎臓の主な働きの一つは、尿中に老廃物を排泄することですが、腎不全になるとうまくできなくなります。つまり、血液中の老廃物を「ろ過」する働きや、体に必要な水分を「再吸収」する働きが低下してしまいます。このため、水分を捨てすぎて脱水症状になったり、血液中に毒性のある不要物がたまって障害を起こしたりします。

 【病気のサイン】

げっそりやせる・水をガボガボ飲む・オシッコをいっぱいする・オシッコの色がうすい・食欲不振

  【症状】

1期(代償期)・・・・ 腎機能の50%以上が残存する無症状の段階 

2期(腎機能障害)・・・・多飲、多尿、軽度の貧血、ときには体重低下

3期(狭義の腎不全)・・・食欲低下、間欠的嘔吐体重低下、貧血

4期(尿毒症)・・嘔吐や下痢などの消化器症状、嗜眠傾向痙攣などの神経症状と多臓器不全の状態に陥る

  
【診断】

  血液検査  血液中尿素窒素(BUN) ・ 血清クレアチニン(CREA) の上昇

  尿検査   比重・蛋白尿

  画像検査  腎臓の大きさや内部構造の異常

  その他

  【治療】
        飼い主さまが気付くような症状が出る頃には、すでに腎臓機能の75%が失われていると言われています。
        できるだけ早く治療を受けることが大切です。
        脱水状態になりやすいやすいため、定期的な輸液治療が重要になります。
        
        ※食事 腎臓用の療法食に切り替えることが効果的

 タンパク質やリン、塩分などを抑えた食事に切り替える

                            【 腎 臓 の 働 き 
                                 
(1) 老廃物の排泄  腎臓は体で作り出された老廃物を水分と共にろ過し、尿として排泄します。
(2)水分の調節  腎臓はろ過した水分を必要に応じて再吸収し、尿の濃さや量を調節して、体内の水分量を一定に保とうとします。
(3)電解質(ミネラル)のバランス調節  腎臓は尿を作る際に、生命を維持する上で不可欠な働きをしている様々なミネラルの濃度を調節しています。
(4)酸塩基平衡のバランス調節  腎臓は体液の酸とアルカリの排泄を調整して、弱アルカリ性に保っています。 
(5)造血ホルモンの分泌  腎臓は骨髄に赤血球を作る指令を出すホルモンを分泌しています。
(6)血圧の調節  腎臓も血圧の調整に深く関わっており、血圧上昇に重要な物質が分泌されています。
(7)ビタミンDの活性化  食物から摂取されたビタミンDを腎臓で活性化し、腸管からのカルシウム吸収や骨の代謝に重要な役割を果たします。




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